パウパーとは?
パウパー(pauper)は公式フォーマットのひとつ。
これまでに紙のカードかMTGO(マジックオンライン)で、コモンとして収録されたこのあるカード全てが使用可能となっています。
コモンしか使えないとはいえ使用可能なエキスパンションはレガシーやヴィンテージと同じで、その広大なカードプールによってコモンのみとは思えない強力なデッキも存在します。
一度でもコモンとして収録されているものであれば使用可能なので、例えば【チェイナーの布告】のように、もともとアンコモンだったものも後から別のセットでコモンとして収録されていれば使用する事ができます。
ちなみに『 pauper 』を訳すと「貧困者」という意味だそうです。
コモンでも高いカードはありますがイメージはしやすいですね。
目次
パウパーはどんな環境?
全てコモンという事でのんびりした平和な環境をイメージしている方もいるかもしれませんね。
しかし実際はそういうわけではなく、過去にはとてつもない凶悪なデッキも存在していました。
サンプルデッキ:ストーム |
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4:《古き泉/Ancient Spring》 4:《用水路/Irrigation Ditch》 4:《硫黄孔/Sulfur Vent》 4:《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》 4:《彩色の宝球/Chromatic Sphere》 4:《彩色の星/Chromatic Star》 4:《暗黒の儀式/Dark Ritual》 4:《巣穴からの総出/Empty the Warrens》 4:《ぶどう弾/Grapeshot》 4:《留まらぬ発想/Ideas Unbound》 4:《水蓮の花びら/Lotus Petal》 4:《魔力変/Manamorphose》 4:《思案/Ponder》 4:《炎の儀式/Rite of Flame》 4:《血の署名/Sign in Blood》 |
サンプルデッキ:感染 |
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19:《森/Forest》 4:《荒廃のマンバ/Blight Mamba》 4:《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》 4:《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr》 4:《腐敗狼/Rot Wolf》 1:《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》 4:《地うねり/Groundswell》 4:《激励/Invigorate》 4:《変異原性の成長/Mutagenic Growth》 4:《捕食者の一撃/Predator’s Strike》 4:《怨恨/Rancor》 4:《巨森の蔦/Vines of Vastwood》 |
どちらも極めて速く、中途半端なデッキでは手も足も出ません。
このようにパウパーは他の構築フォーマットに引けを取らない強力なデッキを作る事も出来ます。
とはいえさすがに瞬殺コンボばかり幅を利かせていたらゲームバランスも何もありません。
その点に関しては幾度もの禁止改定によって上記のような凶悪なコンボデッキは淘汰されています。
少し前に【騒鳴の嵐】が暴れまわり環境が荒れてしまいましたが、【騒鳴の嵐】が禁止され、現在は『フェアリー』『赤単バーン』『親和』など、比較的フェアなデッキが活躍しており適度なバランスを保っています。
禁止カード
《アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》
《騒鳴の嵐/Chatterstorm》
《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
《雲上の座/Cloudpost》
《頭蓋囲い/Cranial Plating》
《目くらまし/Daze》
《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
《探検の地図/Expedition Map》
《失墜/Fall from Favor》
《大あわての捜索/Frantic Search》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《ぶどう弾/Grapeshot》
《噴出/Gush》
《激励/Invigorate》
《神秘の聖域/Mystic Sanctuary》
《流浪のドレイク/Peregrine Drake》
《滞留者の相棒/Sojourner’s Companion》
《時間の亀裂/Temporal Fissure》
《宝船の巡航/Treasure Cruise》
《High Tide》
《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》
《陥没孔/Sinkhole》
パウパーの魅力
パウパーには他の構築フォーマットとは違った、パウパーならではの魅力があります。
丁度いい速度感
瞬殺系のデッキは過去の禁止改定により、使用不能になるか弱体化を余儀なくされています。
その為現在のゲームスピードは昔に比べゆっくりとしたものになっており、「ゲームにならない理不尽な負け」は少なく、ある意味最もマジックらしいゲームが出来る構築フォーマットと言えるかもしれません。
とはいえゲームスピードが遅すぎるというわけでもなく、アグロデッキや『赤単バーン』なんかは4ターンあれば対戦相手のライフを削りきる事も難しくはありません。
理不尽な負けも起きにくく、それでいて油断するとあっという間にやられるような、ストレスを感じにくい適度な速度感となっています。
ローテーションが無い
レガシーやヴィンテージといったエターナル環境と同様ローテーションがありません。
所持しているカードは禁止カードに指定されない限り使い続ける事が出来るため、パウパーでもメタゲームの動きは比較的ゆっくりとしたものになっており、ひとつデッキを用意しておけば長く遊べるため、スタンダードのような目まぐるしく変わる環境についていくのがつらく感じる方でも遊びやすいフォーマットとなっています。
コモン限定なので安価に手に入るカードが多く、複数のデッキを用意しやすいのも長く遊べる要素になっています。
多種多様なデッキが活躍
アグロ、コントロール、コンボ、ランプ、クロックパーミッションなど、パウパーでは他の構築フォーマットと同じくらい様々なアーキタイプが活躍しています。
むしろコモン限定という事で当然カードパワーは高くないので、相対的に他のフォーマットよりプレイアブルなカードは多いと言っても過言ではありません。
パウパーで活躍しているデッキをいくつかご紹介していきます。
親和 |
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18:Land 3:《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》 2:《鉱滓造の橋/Drossforge Bridge》 4:《大焼炉/Great Furnace》 1:《島/Island》 1:《霧霊堂の橋/Mistvault Bridge》 4:《教議会の座席/Seat of the Synod》 2:《銀色険の橋/Silverbluff Bridge》 1:《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》 12:Creature 4:《エイトグ/Atog》 4:《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》 4:《マイアの処罰者/Myr Enforcer》 30:other 4:《物読み/Thoughtcast》 3:《命取りの論争/Deadly Dispute》 1:《払拭/Dispel》 1:《投げ飛ばし/Fling》 4:《感電破/Galvanic Blast》 1:《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》 4:《彩色の星/Chromatic Star》 4:《胆液の水源/Ichor Wellspring》 4:《予言のプリズム/Prophetic Prism》 2:《魔法の井戸/Witching Well》 2:《間に合わせの砲弾/Makeshift Munitions》 |

親和といえばアグロのイメージですが、パウパーの親和はコンボ的な要素が強い構成になっており、大量のドロースペルからアーティファクトを供給し続け、【エイトグ】による大ダメージを狙います。
【 大霊堂の信奉者】や【 間に合わせの砲弾 】があれば直接ライフを狙いに行く事ができるし、ブロッカーや除去を構えられても【投げ飛ばし】によって一気に削りきる事ができます。
とにかく大量にカードを引いていく動きと一気にライフを削る動きが爽快で使っていてとても気持ちがいいデッキですね。
白黒『黒死病』 |
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22:Land 2:《灰のやせ地/Ash Barrens》 1:《ボジューカの沼/Bojuka Bog》 2:《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》 4:《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》 2:《平地/Plains》 4:《磨かれたやせ地/Scoured Barrens》 7:《沼/Swamp》 16:Creature 1:《墓所のネズミ/Crypt Rats》 3:《ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact》 4:《コーの空漁師/Kor Skyfisher》 3:《孤独な宣教師/Lone Missionary》 1:《黒薔薇の棘/Thorn of the Black Rose》 4:《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》 22:other 3:《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》 4:《強迫/Duress》 4:《喪心/Cast Down》 2:《虹色の断片/Prismatic Strands》 4:《予備物資/Spare Supplies》 1:《死者の神のお告げ/Omen of the Dead》 4:《黒死病/Pestilence》 |

パウパーでは貴重な全体除去である【黒死病】を中心に据えた、白黒のコントロールデッキです。
ボードコントロール力が高く、クリーチャー主体のパウパー環境においては大きく不利になるようなマッチアップは少なく人気デッキのひとつとなっています。
ウルザトロン |
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22:Land 1:《ボジューカの沼/Bojuka Bog》 1:《誘惑の洞窟/Cave of Temptation》 2:《島/Island》 1:《クアンドリクスの学舎/Quandrix Campus》 1:《急流の崖/Swiftwater Cliffs》 4:《興隆する島嶼/Thriving Isle》 4:《ウルザの鉱山/Urza’s Mine》 4:《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant》 4:《ウルザの塔/Urza’s Tower》 7:Creature 2:《記憶の壁/Mnemonic Wall》 4:《熟考漂い/Mulldrifter》 1:《石角の高官/Stonehorn Dignitary》 31:other 1:《とどろく雷鳴/Rolling Thunder》 1:《削剥/Abrade》 1:《喪心/Cast Down》 2:《輪作/Crop Rotation》 1:《儚い存在/Ephemerate》 1:《除外/Exclude》 1:《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》 1:《幽霊のゆらめき/Ghostly Flicker》 4:《衝動/Impulse》 3:《一瞬の平和/Moment’s Peace》 2:《神秘の指導/Mystical Teachings》 1:《禁制/Prohibit》 2:《ムラーサの胎動/Pulse of Murasa》 1:《巻き戻し/Unwind》 1:《嵐の乗り切り/Weather the Storm》 4:《眷者の装飾品/Bonder’s Ornament》 4:《予言のプリズム/Prophetic Prism》 |

ウルザランドがもたらす大量のマナを利用してアドバンテージを稼いでいくコントロールデッキとなっています。
中でも【 記憶の壁 】【 幽霊のゆらめき】のコンボは凶悪で、墓地にあるインスタントやソーサリーを延々使いまわしたり、【 石角の高官 】で封殺したりとロックデッキ的な側面もあり、相手にするとゲンナリする事間違いありません。
ハマった時のコントロール力はパウパー屈指といえます。
青黒フェアリー |
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20:Land 2:《灰のやせ地/Ash Barrens》 3:《進化する未開地/Evolving Wilds》 3:《氷のトンネル/Ice Tunnel》 10:《島/Island》 2:《沼/Swamp》 18:Creature 4:《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》 3:《フェアリーの予見者/Faerie Seer》 2:《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》 3:《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》 4:《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》 2:《黒薔薇の棘/Thorn of the Black Rose》 22:other 1:《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》 4:《定業/Preordain》 1:《多元宇宙の警告/Behold the Multiverse》 3:《渦まく知識/Brainstorm》 3:《喪心/Cast Down》 4:《対抗呪文/Counterspell》 1:《払拭/Dispel》 4:《殺し/Snuff Out》 1:《息詰まる噴煙/Suffocating Fumes》 |

『フェアリー』とも言われますが、【深き刻の忍者】などフェアリーでないクリーチャーも入っている事が一般的です。
青単色で安定性とテンポ重視したものや、このデッキのように黒をタッチして【グルマグのアンコウ】や【殺し】など打点や汎用性を上げるものもあり、構築の幅は意外と広いです。
『フェアリー』はスタンダードの頃からとても人気のあるアーキタイプなので、これからパウパーを始めようと思っている方で興味を持つ方は多いかもしれませんね。
赤単バーン |
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17:Land 2:《忘れられた洞窟/Forgotten Cave》 15:《山/Mountain》 8:Creature 4:《ギトゥの溶岩走り/Ghitu Lavarunner》 4:《熱錬金術師/Thermo-Alchemist》 35:other 4:《稲妻の連鎖/Chain Lightning》 4:《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》 4:《裂け目の稲妻/Rift Bolt》 4:《批判家刺殺/Skewer the Critics》 4:《火炎破/Fireblast》 4:《稲妻/Lightning Bolt》 4:《針落とし/Needle Drop》 4:《焼尽の猛火/Searing Blaze》 3:《貫かれた心臓の呪い/Curse of the Pierced Heart》 |

古来よりあらゆるフォーマットで活躍する由緒正しい『赤単バーン』
パウパーでも常に存在し続け、ファンも多いデッキですね。
【稲妻】【 火炎破 】【 稲妻の連鎖 】など強力な火力を大量に取り入れた漢のデッキ。
デッキとしても充分な強さがあり、マジックオンラインでも比較的安価に組めるため初心者にもおすすめのデッキとなっています。
まとめ
コモン限定構築とは思えない奥深さのあるフォーマット、パウパー。
公式が正式なフォーマットとして認定したので、コロナが収束すればリアルイベントも徐々に増えてくるでしょう。
もちろんマジックオンラインでもプレイすることが出来ますし、テーブルトップよりも安価に組みやすいので、ためしにプレイしてみるのもいいと思います。
実際にプレイしてみるとパウパーの魅力がきっと伝わると思うので、ぜひ皆さん一度遊んでみてください!